日本の漫画は国内だけではなく全世界でもとても人気で、日本で漫画家になりたい外国人はいっぱいいるはず。
日本で漫画家デビューできない日本人さえけっこういるのに、外国人が入る隙間なんてあるわけがない。
最初周りの友人に「日本で漫画家になりたい」って言ったとき、皆は「何バカのことを言ってんの?」って顔してたね。
その壁は本当に分厚く高い。絶望レベル。
今ならWEB投稿が増えたから、海外で住んででもかなりスカウトされやすくなったが、
実は昔出版社は、基本海外の投稿は受け取らないことになっていた。だから投稿するには、まず日本にいないといけない。日本にいるには学生ビザや就労ビザを取得しなきゃいけない。
私の場合は漫画家を目指し始めたのは社会人になってからのことなので、もちろん就労ビザで日本に来た。ただ外国人が日本で働くにはいろんな制限がある。在留資格も様々で勝手に漫画アシスタントの仕事をしちゃいけない場合もある。在留期限もあるし、その間デビューできなかったらビザを更新しなきゃいけない。でも更新するにはまず雇ってくれる会社がスポンサーしてくれないとダメだから、もしスポンサーを見つけられないまま期限が来たらもうタイムアウト。日本さようなら。私の場合は才能がなさすぎてなかなかデビューできなかったから、気付いたら同じ会社で10年間も働いてた。実は同じ在留資格で10年間日本で働いてたら(+犯罪歴なし+税金きちんとおさまる)、個人で永住ビザを申請できる。だだし!それはあくまでも申請できるだけの話。永住ビザが下りる保証は一切ない。基準が曖昧でそのとき審査の人のさじ加減次第。安心に漫画家を目指すために、そこはかなり苦労してた。確実にビザが下りるために、一年以上をかけて準備してた。行政書士も雇って書類を準備してもらった。行政書士さんが「永住ビザが下りましたよ」って連絡がきたとき、本当にホッとした。当時その行政書士さんが曰く「さいさんが取れなかったら、誰も取れないと思いますよ!」
漫画家を目指し続くために、私は200%準備して永住ビザをもらった。
そこクリアしたら、初めて漫画の実力の話に入る。
面白い話を作れると大量生産できる前提で、
画力はある程度必要だし、人物が上手く描けたら今度背景もマスターしないといけない。
両方も上手く描けるからって1Pの原稿にぎっしり描いたらいいわけでもない。バランスも見ないといけない。絵が上手になっても日本人に受けが悪いって言われたらまた最初から絵柄を変えなきゃいけない。
そしてもっと大事なのはやっぱりネーム力。
個人から見ると、ネームは時間をかけば必ず良くなるものではない。自分も含めて何年かかっても、ムダなセリフやコマを削られない人がいっぱいいる。自分が一生懸命絞り出したアイデアを削るにはとても勇気がいることだ。そこがクリアできないと、前には進めないと、私はそう思ってる。しっかりネーム修行ができたら、初めて望みが見えてくる。
次、案外壁になるのはネタ。
ファンタジーもの以外、海外育ちの人は日本が背景する話を描くには実は難しい。
日本の学校を通ったことないから、学園ものを描くのはなかなか難しい。
いっぱい取材し勉強して日本のある職業の話を描いても、文化の違いが原因で細かいところから読み手が違和感を感じることが多い。結局作品がなかなか共感してもらえない。それは大体持ち込みの段階で編集さんに言われることが多い。結局勧められたのはエッセイ漫画。要する「外国人から見る日本」のような題材のエッセイ漫画。勧められる確率が高い。実際それでデビューしてる外国人の方何人もいるようだ。ただそれは本当に自分が描きたいもの?もし違ったら、日本での日常生活で表してる文化をもっと掘り下げて勉強しなければならないと思う。
そして!!!!私から見ると外国人にはもっとも一番高い壁はセリフにある。
(この日記の日本語を読んでもわかると思うけど)
それはただ翻訳の話ではない。文化の違いともつながってる。自分の言語ではこれを言うのは普通だけど、日本語に変えるとただの意味不明なセリフになったりする。そこは割と早い段階で、自分だけじゃどうにもならないのはわかった。助け人が必要。つまり添削してくれる人を探さなきゃいけない。ただ誰でもできることではない。
いろんな方にお願いしてみた。皆は日本人とはいえ、国語力はバラバラだ。キャラクターによって喋り方も違ってくるし、そこが的確に添削できる人は実に少ない。幸い適任の人を見つけた。今添削してくれるのは二人いる。二人とも演劇やってて、私のことをよく知ってる友人だ。二人とも国語力があるし、キャラクターになりきれるし、ネームを深く細かく読んでくれる。それは演劇をやってるからこそできたことだと思う。お二人に出会ったことに運命を感じる。
ちなみに、添削してくれる友人は以前から、「あなたの文章を読むと、生意気で偉そうな感じがするよ」って言われてた。それを言われてもなぁ、違う言い方を書けないからね。そう思ってる方がいらっしゃったら・・・どうもすいまてん。
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